PCでオーディオ、是か非か
みなさんは、普段どのような環境で音楽を聴いたり、動画を編集したりしていますか?
実は、私たちが毎日便利に使っているパソコンは、電源やバッテリー、CPUファン、多数のUSB機器、そしてWi-FiやBluetoothなどの無線の電波が飛び交う「ノイズの塊」です。
オーディオの世界には「S/N比(信号対雑音比)」という基本的な良い音の指標があります。
Sは信号、Nは雑音を表します。
例えば、静かな会議室で2人で打ち合わせをする場合、雑音がほぼないため通常のトーンで快適に会話ができます。これが「S/N比が高い」状態です。
一方、駅のホームで通過電車が入ってきた時のように、人の賑わいやアナウンス、電車の音などの雑音が大きい中では、会話が聞き取りにくくなりますよね。これが「S/N比が低い」状態です。
パソコンでの音楽再生は、まさにこの「駅のホーム」のように雑音がひどい環境で行われていると言っても過言ではありません。
そのため、一部のオーディオファンからは「パソコンでいい音を求めるなんて愚の骨頂」という厳しい意見もあります。
しかし、PCにはアルバム管理やストリーミング再生、動画編集やDTMといった、オーディオ機器単体では得られない圧倒的な利便性と拡張性があります。
そこで今回は、PCの利便性を活かしつつ、DACアンプとモニタースピーカーを導入することで、デスクの音響環境を劇的に改善する方法をご紹介します。
デザインと外観について
今回導入したのは、中国の音響機器メーカーTopping(トッピング)の据え置きDAC「E50Ⅱ」と、YAMAHAの定番モニタースピーカー「HS5」です。
まず「Topping E50Ⅱ」ですが、幅155mm、奥行き129mm、高さ41mm、重量465gと、非常にコンパクトで軽量な設計になっています。
DACチップ :AKM AK4497S
入力系統 :USB-C / 光デジタル / 同軸デジタル / Bluetooth
Bluetooth
対応コーデック:AAC / SBC / Aptx / Aptx-Adaptive / Aptx HD / LDAC
出力系統 :シングルエンド(RCA)/ バランス(6.35mmTRS)
USB IN :PCM…44.1kHz-768kHz/16bit-32bit
DSD…DSD64-DSD512(Native) DSD64-DSD256(Dop)
電源 :USB Type-C(DC5V/1.0A)
消費電力 :3.0W
サイズ :155 x 129 x 41mm
重量 :465g
本体上部や側面にはボタン類がなく、非常にシンプルなデザインです。
操作系が本体にないため、付属のリモコンでの操作が必須となります。背面には、TRSのバランス出力(モノラル端子)と、RCAピンジャックのシングルエンド出力が備わっています。
また、同軸デジタル、光デジタル、データ通信用および電源用のUSB-Cポート、そしてBluetoothアンテナ端子が美しく配置されています。端子には保護キャップが付いており、丁寧な作りを感じさせます。
続いて「YAMAHA HS5」ですが、こちらは想像以上に大きく、1本の重量が5.3kgもあります。寸法は幅170mm、高さ285mm、奥行き222mmとなっており、デスクの上に設置するとかなりの存在感を放ちます。
形式 :バイアンプ2WAYバスレフ型パワードモニター
周波数帯域(-10dB) :54Hz-30kHz
(-3dB) :74Hz - 24kHz
コンポーネント :LF=5"コーン/HF=1"ドーム
クロスオーバー周波数:2kHz
出力 :70W(LF: 45W/4Ω HF: 25W/8Ω)
入力端子 :XLR/PHONE(バランス)
消費電力 :45W
寸法 :幅170x高285x奥222mm
重量 :5.3kg
デザインはYAMAHA伝統の象徴的な白いコーンが特徴的で、背面にはバスレフポートや出力レベルのツマミ、ルームコントロールスイッチが配置されています。なお、この出力レベルツマミは通常12時にセットして動かすことはまずありません。
使用感とメリット
この組み合わせの最大のメリットは、「原音に忠実で、正確な出力」を得られることです。
Topping E50Ⅱには、旭化成エレクトロニクス社のDACチップ「AK4497S」が搭載されています。これは「VELVET SOUNDテクノロジー」を基盤とし、旧チップから徹底した低歪み化が施され、極限までデジタルノイズを削減した改良版です。
入力はUSB、光、同軸、Bluetoothの4種類に対応しており、BluetoothはLDACやAptx HDなどの高音質コーデックもサポートしています。
また、シングルエンドとバランスの2系統出力を同時に使用できるため、サブウーファーとスピーカーを同時に接続するといった拡張性の高さも魅力です。
そして、音の出口であるYAMAHA HS5は、心地よく音楽を聴かせるための「オーディオスピーカー」ではなく、音を正確に再現することを目的とした「モニタースピーカー」です。
オーディオ用のスピーカーにはメーカー独自の「味付け」がされていることが多いですが、クリエイターが動画編集やDTMで味付きのスピーカーを使用すると、意図した通りの正確なサウンドを作ることができなくなってしまいます。
実際にこの構成で音を出してみると、音や声がとてもクリーンで、素直に出力されます。「心地よい良い音」というよりも、「正しい音が出ている」という印象を強く受けます。
動画編集や音楽制作において、ノイズのない原音に忠実な環境が手に入ることは、クリエイターにとって計り知れないメリットとなります。
気になった点(デメリット)
一方で、導入にあたっていくつか気を付けるべき点もあります。
第一に、YAMAHA HS5のサイズと重量です。HSシリーズの中では最も小型なモデルであるとはいえ、幅17cm、高さ28.5cm、重量5.3kg(1本あたり)のスピーカーを2台デスク上に配置するには、それなりのスペースと、重量に耐えられる頑丈なデスクが必要です。ちなみに最も大きいHS8ともなると幅25cm、重量10kgを超え、一般的な机の上に置くのは困難になります。
第二に、接続ケーブルの要件です。HS5の入力端子はキャノン3ピン(XLR)端子とフォーン端子のバランス接続のみとなっており、これ以外の入力はありません。
そのため、E50Ⅱ(TRSオス)からHS5(XLRオス)へ接続するための、専用のバランスケーブルを別途用意する必要があります。ノイズを防ぐためにも、なるべく太く、距離の短いケーブルを選ぶことが推奨されます。
電源に関しても、スピーカー左右それぞれで独立した電源ケーブルが必要になるため、コンセント周りの配線整理が必須となります。
最後に、音の特性です。モニタースピーカーの「味付けのない素直な音」は、音楽を純粋に心地よく楽しみたいだけの一般的なリスナーにとっては、ややドライで味気なく感じられる可能性があります。一般的な動画視聴やBGMとしての音楽鑑賞だけであれば、バランス接続やモニタースピーカーはオーバースペックかもしれません。
これは実装してほしかったですね。
まとめ
パソコンというノイズに囲まれた環境であっても、DACチップ「AK4497S」を搭載したTopping E50Ⅱと、定番モニタースピーカーYAMAHA HS5を組み合わせることで、S/N比の高い、非常にクリーンで正確な音響環境を構築することが可能です。
設備投資をなるべく抑えたい、しかし妥協のない正確な音が欲しいというクリエイターやアーティストの方にとって、この組み合わせは非常にコストパフォーマンスの高い選択肢と言えます。もちろん、アーティストが目指したサウンドをそのまま忠実に再現して聴きたいという純粋なオーディオファンにもおすすめです。
PCデスクでの作業が多い方は、ぜひこの機会にご自身のモニター環境を見直し、ノイズのないクリアな世界を体験してみてはいかがでしょうか。
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